平成28年4月14日に発生した1回目の地震に始まり、以後余震が1500回を超えた一連の熊本地震。今回は風俗店スタッフや働く女の子に、地震に直面したときの状況などを徹底レポート。
4月14日に端を発し、熊本地方を中心に震度7以上2回を含め余震700回越えという大震災となった「平成28年熊本地震」。熊本県内では死者行方不明者多数、倒壊家屋もあり被害は甚大。その影響はもちろん風俗エリアにも。震災直後の熊本市内に入り、現場からリポート。
熊本県のシンボル熊本城も、石垣や長堀が損壊。天守閣の瓦も剥がれ落ちた。修復には10年以上かかる見通しとなっている。
営業中の風俗街に1回目の震度7
水道やガスはストップし大混乱状態
ドンっと突き上げられるような強い衝撃を受けた瞬間、前回の地震よりも明らかに大きな揺れが地鳴りのような音を伴って襲ってきた。これはやばいと急いで外に出ようと試みるも、揺れが大きくまともに立つことすら出来ない。呆然となってしばらく机にしがみついていたのだが、その机の上に乗っかっていた原稿やノートパソコン、スマホなどはすべて吹き飛んでしまっていた。棚も倒れ、事務所内はグチャグチャ。とてつもない恐怖を感じ、ただひたすら早く静まってくれと祈ることしか出来ない。ようやく揺れがおさまったのを確認し、床に転がっていたスマホだけを手に取り、事務所から逃げるように外に飛び出した。
水道やガスはストップし大混乱状態
4月16日午前1時25分。本誌記者が体験した“本震”発生時の様子である。
後に余震が1500回を超えることになる一連の熊本地震は、4月14日21時26分に発生した熊本地方を震源とするマグニチュード6.5、最大震度7を観測する大型地震によって端を発した。記者はこの1回目の地震のときは熊本市中央区の下通アーケードを歩いていたのだが、突然の大きな揺れと人々の携帯からワンテンポ遅れて地震警告音が一斉に鳴り響き、一瞬パニック状態に。回りを見渡すと、建物がグラグラと大きく揺れているのが分かった。建物内にいた人たちも悲鳴をあげながら一斉に外に飛び出してきて、アーケードはあっという間に人で溢れ返り、辺りは騒然としていた。
それからおよそ28時間後。雑誌編集の締め切り直前だったということもあり、記者は熊本市中央区にある事務所にて深夜をまわって作業していた。事務所内は棚が倒れかけ、物は散乱という状態だったが、停電はしていなかったので先に仕事を終わらせてから片づけすればいいかと考えていた。余震は続いていたものの、とりあえずは大丈夫だろうと油断してしまっていたのだ。
その時。冒頭で記した2回目の震度7。後に本震であると発表された16日午前1時25分の大地震である。明らかに1回目のときより揺れは大きく時間も長かったように思う。それは“野外と屋内”で感じる差では決してないと断言できるほどに強烈な揺れであった。
外に出てまず向かったのは、本誌熊本事務所近くにある中央街。ヘルス、ソープランドが軒を連ねている風俗エリアだ。深夜だったが、早期の復旧に向けて作業していたのだろう。そこには多くのスタッフの姿があった。みな一様に焦燥しきった表情を浮かべており、女の子への連絡だろうか、何度も電話の発信を押していたり、LINEでメッセージを送っているスタッフがあちこちにいた。「これはしばらく駄目かも……」と、ソープランド店長の暗く沈んだ声。4月16日の深夜、熊本の風俗は大ダメージを負ってしまった。
あの大震災から1ヵ月半が経過した(本稿執筆時)。本誌7月号(5月20日発売)の当コーナーでも熊本地震発生直後の状況を中心に速報をお伝えしたが、今号はより詳しく、特に熊本の風俗業界にスポットを当ててレポートしていく。風俗店の店長やスタッフ、働いている女の子などに徹底取材を行い、あのとき現場では何が起こっていたのか、そして現在はどのような状況になっているのかなど、リアルな声をお伝えしていこう。
熊本に最大震度7の地震発生
中央街の店舗型風俗は被害甚大
まずは熊本中央街の店舗型性風俗店の状況から。4月14日、発端となった震度7の地震は21時26分に発生した。もちろんお店は営業中、しかも客が多いコアタイムだった。
「大きな揺れと停電で、みんなパニック状態。その時は12人の女の子が出勤してて、ほとんどが接客中だったんだよ。お客さんと一緒にバスタオルだけ巻いて部屋から飛び出してきた女の子もいたし、とにかく大混乱だった」と某ヘルス店長。同店ではサービスが始まったばかりだったお客もいたため、返金処理の対応を取っていた。しかし、それも受け取らずに走って逃げていくお客もいたというから当時の混乱ぶりが伝わってくる。
中央街の店舗型風俗は被害甚大
他店もほぼ同じような状況だったが、某グループ店では関東の系列店が東北大震災の体験を元に作成した災害時のマニュアルがあり、それを元にお客や女の子を迅速に避難させることが出来たという。それでも店長は、「家族や友達が心配で気が動転している女の子が多かったです。片方の靴が無くなってしまい、裸足で家に帰宅した女の子もいました」と、突然の災害によるパニックは少なからず起きたと語ってくれた。そんななか、その日に予約を入れていたお客がわざわざお店まで来てキャンセルを伝えてくれ、再開したらすぐ遊びにきますという言葉に、店長は強く勇気づけられたという。
この初回の震度7によって中央街の店舗型性風俗店は、水やお湯が出なくなるなどの設備上の問題でほぼ営業停止状態になってしまった。しかし、明けて15日には普通に風俗街へ遊びに来たお客や各店への予約電話も予想以上に多かった。たしかに、この時点では16日からの営業再開を目論んでいるお店もあり、復旧もそこまで時間はかからないと考えていた人も多かったのだろう。そこに2回目の震度7が襲ってきたのである。 「営業再開に向けての作業中に2回目の震度7がきたんです。日付的には1回目の2日後ですが、28時間後なので感覚的には2日連続の大地震という感じでしたね」とは某ソープランド店長。1回目よりも強く長い揺れ。さらに深夜ということもあり、かなりの恐怖を感じたという。彼が真っ先にやったのは在籍する女の子への安否確認だったが、電話は回線がパンクしているのか不通。そこでLINEやショートメールで連絡を取り、時間はかかったものの無事全員の安否を確認できたという。だが、後に本震と発表されたこの2回目の震度7の大地震によって、早期の営業再開もいったん白紙に戻ってしまったのだ。
被災したキャバ嬢がブログで訴え
全国の同業女性から大きな反響!
全国の同業女性から大きな反響!
本震でグチャグチャになった某スナックのカウンター裏。飲み屋街も大きな損害を受けた。
本文中では触れなかったが、当然キャバクラ、ラウンジなど飲み系のお店も地震により、酒のボトルやグラスが全部割れるなどの大損害を受け、しばらくは営業停止状態に。そんななか、全国のキャバクラ情報が掲載されている“ポケパラネット”のブログで、熊本市内の某キャバクラに在籍している女の子がリアルタイムでお店の被災状況から、避難所や救援物資がもらえる場所などの情報を発信。それが全国のキャバ嬢に広まり、それぞれのブログで情報を拡散していくなど大きな反響があった。また、「大阪から週末に飲みに行きます!」など、男性ユーザーからも多くの応援コメントが集まり、アクセスランキングでも一気に1位へと駆け上がった。
地震発生時に接客中だった
デリGALの恐怖体験!
続いて派遣型風俗であるデリヘルの被災状況をみていく。普段女の子を送迎するドライバーとトランシーバーで連絡を取り合っているという某デリヘル店では、「トランシーバーが繋がらなくなったんで、電話で連絡をしようとかけてみたんだけどそれも駄目だった。ドライバーや女の子と連絡が取れなくなって、現場の状況を把握するのにかなり手間取ったよ」と14日の震災時に電話対応を行っていたスタッフ。予約をしていたお客にはお店のほうから電話し、繋がらなかったところへはショートメールでキャンセルの連絡を入れて対応。了解したという連絡もあれば、折り返しがなくそのままうやむやになってしまったお客もいたようだ。
デリGALの恐怖体験!
また某人妻デリヘル店では、託児所に子どもを預けて出勤していた人妻さんがおり、14日の地震直後、何度も託児所に連絡を取ってみるもまったく繋がらず、泣き喚いてパニック状態になってしまったという。
そして地震発生時に接客中だったという某デリヘル在籍のMちゃんは、「九品寺のホテル最上階にいたんですけど、とにかくめちゃくちゃ揺れて怖かったです。急いで外に避難してくださいってホテルから連絡があったんだけど、もうちょっと、もうちょっとってお客さんがなかなか避難してくれなくて。何回も呼んでくれている常連さんだったから、こっちも強く言えないし揺れたアトに3分くらいはフェラしたかな。ようやくお客さんが動いてくれて一緒に部屋を出たんだけど、エレベーターに乗るのってすごい不安じゃないですか。お客さんが動いているんだから大丈夫って言うからしょうがなく乗ったんですけど……、今地震が来たらどうしようってすっごい怖かったです」と、恐怖の体験を語っていた。
再開当初は問題が山積み状態
トラウマを抱える女の子も…
2回の震度7に加えて、震度5・6クラスの余震も頻発しているさなか、本震から2日後の18日に早くも営業を確認できた店舗型の風俗店は6軒あった。水道やガスも復旧していないなか、営業再開を可能にしたのは地下水。熊本市内は昔から地下水が豊富にあり、水道がストップしていてもそれを利用し重油、プロパンガスを使ってお湯を沸かすことができたのだ。ただ6軒とは言っても、うち数軒は稼動している系列店へ客を誘導するためのスタッフがいるだけであった。また、お湯は確保できなかったものの、おしぼりだけで体を拭くピンサロスタイルで営業しているお店もあった。「明日から仕事再開だから景気づけにきたよ」と、サラリーマンなどが多く遊びにきたようで客足はどちらも悪くなかったという。しかし、しばらく再開できないお店に在籍している女の子の中には、働かなければ困ってしまう状況の子も当然いた。福岡エリアに系列店を持つ某店では、福岡まで車で送迎し働いてもらうことでその問題をクリアしていったという。
トラウマを抱える女の子も…
一方デリヘルの状況はというと、14日の地震以降も休業せずに営業しているお店もあるなど、営業再開も店舗型に比べると早かった。しかし、市内中心部のホテルは店舗型性風俗店と同様、設備上の問題で稼動しておらず派遣できないため、比較的被害の少ない植木、玉名、山鹿など郊外のホテルへとお客を誘導せざるを得なかった。交通状況も悪く、通常30分かかる道のりに2時間かかってしまうなど、とてもいつもどおりの営業というわけにはいかずしばらくは売り上げも激減したようだ。
そして店舗型、デリヘル店問わず、再開に向けて大きな問題となったのが、在籍する女の子の精神状態である。 「今まで女の子たちはそれぞれの部屋で待機していたけど、営業再開後しばらくは1人では居たくないって、ひと部屋に固まっていましたね。気持ちはすごく分かりますが」と、某ヘルス店長。屋内にいることへの恐怖心は、女の子だけではなくスタッフもなかなか消えなかったそうだ。また、家に帰れず避難所から出勤していた女の子が、接客中に突然パニック状態になってしまったこともあったという。当然復帰できずにいる女の子も多くいた。特に実家住まいや親と避難所生活を送っている女の子のほうが、復帰に時間がかかったりそのまま辞めていく傾向が高かったようだ。
完全復活はまだまだこれからも
着実に前へ動き出している熊本
着実に前へ動き出している熊本
「被災建築物応急危険度判定士」等と呼ばれる判定士が、建物の危険度を診断し3段階に区分し危険度が高い順に赤紙(危険)>黄色紙(要注意)>緑紙(調査済)を貼っていく。写真はいつ壊れるか分からない危険度の〝アカ〟である。
以上、一連の熊本地震による風俗業界の状況を見てきたが、本稿執筆時では、傍から見ていると営業も再開しいつも通りの日常を取り戻しているようにも見える。だが、店舗の損傷が激しくそのまま閉店になってしまったお店、女の子の在籍が一気に減ってしまい売り上げが激減してしまったお店もある。まだ余震は続いており、今後も引き続き警戒が必要なのは変わらない。熊本の街と同様、完全復活まではもう少し時間がかかるだろう。
しかし、地震によって熊本という街の底力、日本という国の素晴らしさを感じる場面も多かった。在籍するお店が休業中に、ボランティア活動に精を出していた女の子たち。「熊本の役に立ちたい」と、福岡、宮崎、鹿児島から多くの女の子が熊本の風俗店へ面接にやってきているとの話もある。本誌も強く熊本の復興、そして楽しく魅力的な熊本風俗のさらなる盛り上がりを期待している。
それでは最後に、某ヘルス店長からの言葉を紹介して今回のレポートの締めとしたい。 「在籍の女の子、スタッフ共に全員無事で本当に良かったです。営業再開に際し、ご尽力頂いた工事関係者、再開までお待ちいただいたお客様に心から感謝します。1回目の震度7のとき、近くのコンビニに行くと酒の棚は倒れガラスの破片は飛び散り、店内はアルコールの匂いが充満していました。食料を確保するために多くの客が長蛇の列を作っていたんですが、こんなときに営業されて大変ですねと店長に声をかけると、おかげ様で大繁盛ですよと笑顔で答え無心にレジを打っていた姿にすごく胸を打たれました。まだ今まで通りの熊本に戻るのは時間がかかると思いますが、熊本の街が再び盛り上がっていけるように私たち風俗店も頑張って営業していきたいと思います」
相場は車内短時間1万円で本番まで
出会い系サイトで荒稼ぎ
ワリキリGALが大量発生?!
ワリキリGALが大量発生?!
某有名出会い系サイト。熊本県の掲示板にはワリキリを募集する書き込みがぎっしり!
家屋の損傷や、余震が怖くて家に戻れない多くの人たちが車中泊を行っている、今回の熊本地震。そんな車中にいる人を相手に、お金を取ってフェラや本番をするワリキリ女性が発生していた。彼女たちは出会い系サイトを使って相手を募集。話を聞いた女性によると、「5千円でフェラ、1万円で本番してた。車内だから時間は15分とか20分とかさくっと。リピーターも何人かいたよ」という。記者も出会い系サイトを調査してみたが、確かに熊本市内から相手募集の書き込みを数多く発見。全部が全部車中泊の男性相手では当然ないだろうが、〝車内短時間ワリキリ〟というキーワードがやけに目立っていた。
[月刊マンゾク九州2016年8月号掲載]