博多の屋台文化はいったいどうなる? 9月1日より福岡市屋台基本条例施行
福岡市は、屋台の存続を守るため9月1日に屋台基本条例を施行。衛生面や交通の妨げなどの苦情に対し、厳しく取り締まることになった。博多の屋台はどう変わっていく?
南新地の那珂川沿いに立ち並ぶ屋台、条例施行後の様子。歩道に出ていたテーブルも片付けられ、歩道が広くなっていた。
消え行く屋台の灯を守るために、公募制による新規参入を許可!
福岡は博多の名物といえば、やっぱり屋台。全国的に衰退していくなか、ここ福岡市内には現在150軒以上の屋台が営業を行っている。その屋台に対して、9月1日に新しい条例が施行されることになった。 この条例施行の意図は、「歩行の邪魔になる」「道路が汚れる」といった苦情が市へと殺到している現状への対処がひとつ。もうひとつは、1994年に定められた〝屋台営業は「現営業者一代限り」〟という制限があるゆえに問題視されてきた、現営業者の高齢化に伴う屋台の消滅を防ぐ目的で、公募制による新規参入を許可することだ。
これらの条例施行に対して当の屋台側は、「屋台外にテーブルとかを設置できなくなったのが痛いんだよな~。もともと一度に多く客数を捌けないのに、さらに制限がかかって回転が悪くなるでしょ。観光客とかをどんどん回していきたいのに、これからうちでは一度に6人ずつしか対応できないからホントに困った。それに営業開始時間が17時スタートになって短くなったから単純に売り上げも減るし…。料金の値上げも考えないといけないのかねぇ」と暗い表情であった。
一方客側の意見はどうか。屋台によく行くという某中洲ソープランド在籍のIちゃんは、「そんな一代限りの営業とかは知らなかったけど、屋台が無くなっちゃったら悲しいからいいことなんじゃない? たしかに不衛生なところはあったりするから、みんなでルールを守っていけばいいと思う」。
条例施行開始日の9月1日は雨。営業している屋台はいつもより少なめだったが、南新地那珂川沿いの屋台は、テーブルなどが綺麗に片付けられており、整然とした通りになっていた。市の職員がチェックにまわっており営業開始時間の違反や屋台外にガスボンベを置いていたなどによって、さっそく5軒の屋台に対して警告が行われていた。職員による指導はゴミ箱の屋台内設置など細かなものまであったようだ。
公募制による新規参入を認めることで屋台文化の消滅を防ぐとはいうが、ここまで現営業者に対して厳格だと、やめる人の方が多くなって屋台文化が下火になってしまうんじゃないかと困惑する屋台営業者たちの声も聞かれた。屋台を愛してやまない記者としては、今回の条例できっとより良い屋台業界になっていってくれると期待しているのだが…。
屋台基本条例施行でこう変わる?!
<プラス面>
・メニュー料金提示義務により、安心明朗な会計が期待できる。
・歩道に物が溢れないため、通行しやすくなる。
・生もの禁止や衛生面の強化で、安全な食事を楽しめる。
・新規参入許可で屋台文化が守られる。
<マイナス面>
・(屋台側)営業時間が短くなることで売り上げが減少。
・屋台外のテーブル設置禁止で、1度に捌ける客が減り、結果売り上げに響く。
・(客側)席数の減少で順番待ちする時間が増える。
・料金の値上げが行われるかもしれない。
[月刊マンゾク九州2013年11月号掲載]