熊本を襲った大地震から1年が経過
風俗業界は日常を取り戻したのか?!
風俗業界は日常を取り戻したのか?!
風俗業界にも大きな打撃を与えた、一連の熊本地震から1年が経過しようとしている。急ピッチで復旧、復興が進められている現在、気になる風俗業界の現状を探るべく本誌記者は熊本へと向かった。
熊本市中央区下通近辺で撮影。歓楽街もすぐ近くにある。
最大震度7を記録し、熊本を中心に九州各地へ大きな被害をもたらした「熊本地震」。当コーナーでもたびたび熊本の風俗業界に与えた影響や復興の状況などについて取り上げてきたが、早いもので地震からまもなく1年が経過しようとしている(本稿執筆時4月上旬)。そこで本誌記者が熊本に現地入りし、風俗店スタッフや女の子などに現状を取材。歓楽街の状況などをお届けしていきたい。
熊本に入ったのは、3月下旬の平日。まずは風俗街である中央街へと向かった。地震による建物の倒壊などで復旧が望めず、2店舗が閉店を余儀なくされてしまった風俗街。地震直後は倒壊危険度を表す「被災建築物応急危険度判定」の張り紙が貼られている店舗もあった。現在その張り紙はなくなり、歩いている限り地震の爪痕は感じられない。半年前に訪れたときに某風俗店店長から、ところどころ崩れた外壁の修復工事をしたいが工事の順番がなかなか回ってこないという話を聞いていた。その店舗に向かってみると、外壁はすっかり綺麗になっていた。「昨年末にようやく工事が出来てね。営業には支障なかったけどやっぱり綺麗になると気持ちいいもんだよね」と店長。最近の調子を聞いてみると、「もうすっかりいつも通りって感じかな。復興バブルとか言われて、たしかに県外からのお客さんは一時期増えた感じはあったけど最近はちょっと落ち着いてきたかな。まあ、普通に営業出来てるからそれだけでもありがたいもんだよ。つぶれちゃったお店もあるし、もっとつらい目にあった人もいるからさ」と、取り戻した日常に対しての感謝が伺えた。
その後各店を回って色々と話を聞いたがどこも「もう地震の影響はない」という答えばかりであった。
「地震前より今のほうが売り上げいいよ。特に県外からのお客さんが増えてるね」と景気のいい話を聞かせてくれたのが某ヘルス店長。同店は全国展開するグループのひとつであり、全国から来ている復興に携わる工事関係者などへの知名度が、客入りに影響しているのかもしれない。
こういう場面に遭遇すると、地震の恐ろしさをまざまざと見せつけられる思いだ。到着した某デリヘルの事務所で店長に話を聞いたが、その話の枕に「さっきビルの解体作業してましたよ」と伝えると、「初めて見た? こう言っちゃあれだけど、もう見飽きたってくらい色んなところでやってるからねぇ」と店長。少し郊外へと車を走らせると、倒壊した建物などがまだまだたくさんあるという。やはり外から見ているのとは違う現実もあるのだろう。
店長に最近の調子を聞いてみた。「うちはそんな大きなところじゃないから、めちゃくちゃ儲かってるってわけじゃないけど地震前より良くなってきたかな。今まで求人に苦労することが多かったんだけど、女の子の入店が増えたからね~。女の子の間で熊本が稼げるって話が広まってたみたいでね。もう地震の影響はないかな、お店には」と語る店長から、待機所にいたひとりの女の子を紹介された。彼女は最も被害の大きかった益城町に実家があったという。「実家は崩れちゃって今は両親と仮設住宅に住んでます。地震のときは事務所の近くでひとり暮らししてたんですけど、そこを引き払って今は私も仮設からここに出勤してるんです」という。また、「こないだまた結構大きい地震があったじゃないですか。やっぱり揺れると当時を思い出してめちゃくちゃ怖くて。しばらくはひとり暮らしは無理かなぁ」。彼女がいう地震とは3月2日夜に熊本で震度4を計測したものだ。私はそのとき福岡の自宅にいたが、そこでも長い揺れを感じることができた。震災直後に女の子たちの心のケアという問題があったが、今現在もトラウマを抱えている人が存在していることは想像に難くない。
冒頭で熊本地震から早いもので1年と書いたが、もちろん被災した県民にとっては長く厳しい日々だったであろうし、現在も住居を失い仮設住宅での生活を余儀なくされている人も多いだろう。3月22日に発表された熊本市長からのメッセージ動画には、復興を支援してくれた人々への感謝や何気ない日常の尊さ、人と人との繋がりの大切さが語られ、'17年を“復興元年”と位置づけたさまざまな復興への取り組みが発表された。5月には熊本のシンボルである熊本城の天守閣改修工事に着手し、'19年1月頃まで城はシートに覆われてその姿を見ることができなくなる。しかし、国内のみならず海外からも多くの人が集まるであろう、熊本でも開催予定の'19年秋のラグビーW杯。その頃にはシートもはがれ、熊本城天守閣を多くの人が目にするはずだ。その時を楽しみに待つとともに、熊本の早期復興を願うばかりである。
熊本に入ったのは、3月下旬の平日。まずは風俗街である中央街へと向かった。地震による建物の倒壊などで復旧が望めず、2店舗が閉店を余儀なくされてしまった風俗街。地震直後は倒壊危険度を表す「被災建築物応急危険度判定」の張り紙が貼られている店舗もあった。現在その張り紙はなくなり、歩いている限り地震の爪痕は感じられない。半年前に訪れたときに某風俗店店長から、ところどころ崩れた外壁の修復工事をしたいが工事の順番がなかなか回ってこないという話を聞いていた。その店舗に向かってみると、外壁はすっかり綺麗になっていた。「昨年末にようやく工事が出来てね。営業には支障なかったけどやっぱり綺麗になると気持ちいいもんだよね」と店長。最近の調子を聞いてみると、「もうすっかりいつも通りって感じかな。復興バブルとか言われて、たしかに県外からのお客さんは一時期増えた感じはあったけど最近はちょっと落ち着いてきたかな。まあ、普通に営業出来てるからそれだけでもありがたいもんだよ。つぶれちゃったお店もあるし、もっとつらい目にあった人もいるからさ」と、取り戻した日常に対しての感謝が伺えた。
その後各店を回って色々と話を聞いたがどこも「もう地震の影響はない」という答えばかりであった。
「地震前より今のほうが売り上げいいよ。特に県外からのお客さんが増えてるね」と景気のいい話を聞かせてくれたのが某ヘルス店長。同店は全国展開するグループのひとつであり、全国から来ている復興に携わる工事関係者などへの知名度が、客入りに影響しているのかもしれない。
現在は仮設住宅で暮らしている
実家が倒壊してしまった女の子
その後、某デリヘルの事務所へ向かっている途中、ビルの解体作業現場に出くわした。
実家が倒壊してしまった女の子
こういう場面に遭遇すると、地震の恐ろしさをまざまざと見せつけられる思いだ。到着した某デリヘルの事務所で店長に話を聞いたが、その話の枕に「さっきビルの解体作業してましたよ」と伝えると、「初めて見た? こう言っちゃあれだけど、もう見飽きたってくらい色んなところでやってるからねぇ」と店長。少し郊外へと車を走らせると、倒壊した建物などがまだまだたくさんあるという。やはり外から見ているのとは違う現実もあるのだろう。
店長に最近の調子を聞いてみた。「うちはそんな大きなところじゃないから、めちゃくちゃ儲かってるってわけじゃないけど地震前より良くなってきたかな。今まで求人に苦労することが多かったんだけど、女の子の入店が増えたからね~。女の子の間で熊本が稼げるって話が広まってたみたいでね。もう地震の影響はないかな、お店には」と語る店長から、待機所にいたひとりの女の子を紹介された。彼女は最も被害の大きかった益城町に実家があったという。「実家は崩れちゃって今は両親と仮設住宅に住んでます。地震のときは事務所の近くでひとり暮らししてたんですけど、そこを引き払って今は私も仮設からここに出勤してるんです」という。また、「こないだまた結構大きい地震があったじゃないですか。やっぱり揺れると当時を思い出してめちゃくちゃ怖くて。しばらくはひとり暮らしは無理かなぁ」。彼女がいう地震とは3月2日夜に熊本で震度4を計測したものだ。私はそのとき福岡の自宅にいたが、そこでも長い揺れを感じることができた。震災直後に女の子たちの心のケアという問題があったが、今現在もトラウマを抱えている人が存在していることは想像に難くない。
客足が伸び続けている飲み屋街
週末は満席で入れないことも?!
週末は満席で入れないことも?!
飲み屋街に近い中央区下通のアーケード街には平日の夜遅い時間にもかかわらず多くの人出で賑わっていた。
最後に向かったのは、キャバクラやガールズバーが集まる下通りのアーケード周辺。平日でも人通りは多く酔客もあちこちにいた。歩いていると、コートを羽織って寒そうにしている女の子からビラを渡されたが、見れば60分1千円という破格の料金がデカデカと記載されている。「ガールズバーどうですか~?」と愛嬌を振りまく彼女に、客の入りを聞いてみると、「お客さん結構多いですよ~。週末とかいっぱいいっぱいで断ったりもあるし。うちは1千円からだから安いし、県外の人みんな料金に驚くんですよね~。さっきお店に行った人は栃木からって言ってましたよ。どこから来たんですか?」と彼女。熊本にいる本誌記者の知人も、これまで週末は福岡の中洲によく飲みに行っていたが、地震後は地元で飲むようにしていると言っていた。熊本県民の地元愛を感じるエピソードだが、県外からのお客に合わせてこうした地元からのお客も多く入り、飲み屋街も大いに盛り上がっているようだ。筆者も1千円という料金に、そして女の子の笑顔に釣られて、熊本の夜を少しばかり楽しむことにした。これから迎えるGW、熊本に行く予定のある人はぜひ歓楽街でも楽しんでもらいたい。
冒頭で熊本地震から早いもので1年と書いたが、もちろん被災した県民にとっては長く厳しい日々だったであろうし、現在も住居を失い仮設住宅での生活を余儀なくされている人も多いだろう。3月22日に発表された熊本市長からのメッセージ動画には、復興を支援してくれた人々への感謝や何気ない日常の尊さ、人と人との繋がりの大切さが語られ、'17年を“復興元年”と位置づけたさまざまな復興への取り組みが発表された。5月には熊本のシンボルである熊本城の天守閣改修工事に着手し、'19年1月頃まで城はシートに覆われてその姿を見ることができなくなる。しかし、国内のみならず海外からも多くの人が集まるであろう、熊本でも開催予定の'19年秋のラグビーW杯。その頃にはシートもはがれ、熊本城天守閣を多くの人が目にするはずだ。その時を楽しみに待つとともに、熊本の早期復興を願うばかりである。
[月刊マンゾク九州2017年6月号掲載]