SMプレイにおいて、女王様の命令を拒否して言うことを聞かず、自分のしてほしいことだけを要求してくるMのことを"エゴマゾ"と呼び、①SM業界では昔 からいるメジャーな存在だという。自分のエゴだけを求めるMというのが名前の由来だが、SMといえば女王様とドMな下僕との主従関係といったイメージがあ り、エゴな相手にどのように対応しているのか不思議なところ。そんな態度を取られるとプレイが成り立たないんじゃないかと思ってしまうのだ。そこで専門家 にエゴマゾについて話を伺ってみた。 　

　「実際にエゴマゾの人も利用されてますよ」と教えてくれたのは、福岡デリバリーSM「クラブシークレット」のママさん。本格的なハードSMプレイからソフ トなSMまで幅広いコースを用意している同店だけに、さまざまな性癖の人が利用している。その中に問題のエゴマゾも少なからずいて、傾向としては新規のお 客さんに多いという。

　「一般的なSMプレイにはならないかもしれませんが、エゴマゾと言ってもお店では特別どうということはないですね。確かにSMプレイの場合は女王様が主導 して進めていくので命令を全部断られるとやりにくい面がないとは言えないですし、そういうお客はお断りという女王様もいると思います。ですが、うちではす べて受け入れていますし、プロですからお客様に合わせてうまく誘導していきますよ」

　もともとエゴマゾ気味だったお客さんが、何度もプレイすることで真性のドMになったというケースもあり、入口がエゴマゾでも気にならないという話であっ た。また、「それは痛いからイヤ」と言って拒否するのはエゴマゾとは考えておらず、あくまでも「あれして、これして」という己の欲求だけを求めるのがエゴ マゾという認識だという。このあたりは、やはりアメとムチ、調教に耐えたらご褒美というのがSMプレイの基本であり、そこに喜びを感じるのがマゾだからだ ろう。エゴマゾになってあれこれといろいろなプレイを詰め込むのを求めることも否定はしないが、流れに身をまかせ、女王様を信頼して身を委ねる。その素晴 らしさも知ってほしいというのがママの本音といったところか。

　このようなエゴマゾは、SM業界だけに限った存在ではなく最近は一般の風俗業界にも増えてきているようだ。

　「女の子に対する要求が多いお客さんが増えているように感じます」とは、中洲の某トクヨクの店長。同店は事前にアンケートを行いサービスに反映させている が、紙からはみ出すかのような勢いでビッチリと要望を書く人が増えているという。同店の女の子に話を聞いても、「それはもういいから違うのやって」など、 次から次に要求を繰り出してきたりするとか。また、M性感サービスや痴女を売りにしていない、いたってノーマルなお店にもかかわらず、女の子に「ツバをか けて」や「顔面騎乗をしながら言葉責めして」などの要求も多い。Mプレイはしたいけど、専門店はなんかヤダ。そんな、SM業界のソレをもっとワガママにし たのが風俗業界のエゴマゾと言えるのかも。注文も要求も多すぎ、そんでもってこだわりもスゴイと。

　福岡の某デリヘルで働くKちゃんも、「1番すごかった要求は、ブリッジしながらフェラして欲しいって。言われたときは思わず笑っちゃったけど、意外とでき ちゃいました（笑）」とエゴマゾな客についた経験を告白。他にも、「包茎を馬鹿にしながら手コキしてほしい」「オナニーするからラジオ体操して」などなど 多くのワガママでこだわった要求を聞くことができた。

　なぜこのようなエゴマゾな客が増えてきているのか。さまざまな理由が考えられるが、そのひとつに不況が影響しているかもしれない。遊びに行く回数が限ら れ、明日は久しぶりの風俗。そうなると、限られた60分コースの中に、あれもしてほしい、これもしてほしいと己の欲求をすべてぶつけるかのように詰め込ん できているのではないだろうか。M性感などの専門店に行かずノーマル店でSプレイを求めているのも、料金がちょっとお安いから？　まあ、これは憶測である が……。

　しかし、こんなエゴマゾな客を歓迎しているという女の子は意外に多い。前述のKちゃんも、「自分が出来ないプレイは別だけど、してほしいことを要求してく れたほうがサービスしやすいからどんどん言ってきて欲しいです」という意見。特に新人の頃はどのような流れでサービスしていいか戸惑うことも多かったらし く、エゴマゾな客にはだいぶ助けられたとも語っていた。彼女以外からも同様の意見は多く、ただ横たわっているだけで何も反応がないお客さんのほうが、よっ ぽどやりにくいと口を揃えていたのが興味深いところだ。

　女性を攻めることに喜びを感じる"S"や、逆に女性から攻められるのが大好きという“M"。そこから派生して、人の性癖にはさまざまなものがある。自分の 性癖が風俗で遊ぶ際のお店選びや女の子選びにも関わってくるという人は多いと思うが、その中で、要求一辺倒であるエゴマゾという言葉からも感じるネガティ ブな性癖さえも満たしてくれるのが風俗。やっぱり素晴らしいなぁと再確認した次第。プライベートのエッチで自分は何もせず要求しまくりだと、嫌がる女性も 多いだろうし。

　でもフーギャルに歓迎されているからといって、己のエゴをむき出しに「○番やらせて！」っていうのは当然NGですよっと。