男だけでなく女性のキャッチも登場?!
あの手この手で行われるスカウト行為の今
あの手この手で行われるスカウト行為の今
条例によって禁止されているはずのスカウト行為だが、無くなるどころか昔と変わらず今も行われている。女性を集めたいクライアントのニーズに応えるべく、スカウトマンたちは今日も女性に声をかけている……。
ひとりで歩く女性に声をかけるイケメンや見るからにスカウトマン風の男性を街のあちこちで見かけることができる。*写真は本文とは関係ありません。
規制後もいっこうに減らない
女性を狙うスカウトマンたち
クラブやラウンジ、またはソープランドやデリへルなど、いわゆる風俗店にとって最も大事であり力を入れていることが女の子を集めること。これでほぼ売り上げが決まるとあって、どのお店も求人活動に精を出している。
女性を狙うスカウトマンたち
主な活動は求人誌やネット媒体に広告を出すことだが、いまだ無くならないのがスカウト行為だ。ご存知の方も多いと思うが、このスカウト行為は、全国的に取り締まりの対象となっている。
もちろんここ福岡でも平成18年12月に制定された「客引き・スカウト防止条例」によって禁止されており、違反者には50万円以下の罰金などが科せられる。
この条例のおかげか、たしかに路上での露骨なスカウト行為を見かけることは少なくなり、一見効果が出ているように感じる。しかし実態は、形を変えさまざまな手段でスカウト行為が行われているのだ。
巧妙化するスカウトマンの手口
一見ただのナンパにしか見えない
いったいどのように行っているのか。最も多いと思われるのがナンパに見せる手口である。スーツなどのいかにもスカウトマンという装いではなく、ラフな私服で女の子に声をかける。
一見ただのナンパにしか見えない
そしてその場では一切スカウト行為であることは明かさず、ただ普通にナンパを行う。そして喫茶店などに連れ出し、少しずつ女の子のことを聞き出しながら勧誘していくのだ。
この手口はナンパだと言われたら追求できないため、取り締まるのが難しい。また、一部の心ないホストがスカウト行為を行っているケースも増えてきている。常連の客を風俗店に紹介し報酬をもらう(女性が稼いだ金は自分に使ってくれるので一石二鳥)という構図は昔から一部行われていることだが、今はホストも路上で声かけしているのだ。
確かに女性の扱いにかけてはプロである彼ら。女性を連れ出し、途中で紹介するお店側の人間にバトンタッチするという手口が多いようだ。
そして最近増えてきているのが女性によるスカウトだ。やはり男性に声をかけられることに比べ、女性のほうが足を止めやすいのか、かなりの効果を生んでいる。
手口は男性がナンパに見せかけるのと似ており、最初は街頭でよく見かけるアンケート調査と称して声をかける。そこで話しをしながら脈アリとみると、場所を替えスカウト行為に及ぶという。
目的の性質上、頻繁にスカウトが行われているエリアは若い女性が集まるところに集中。福岡では天神コア前や新天町、大名、西通りなどがメッカとなっている。また、1、2年前に福岡でスカウト行為をしていた者たちが独立。下の人間がスカウトしたら上の人間にも報酬が入ってくるというねずみ講のようなシステムの組織を作っているという話もある。
年収1千万以上稼ぎ出す
やり手のスカウトマンも
このように今も変わらずスカウト活動は行われているが、肝心のスカウトの報酬はどうなっているのだろうか。現役のスカウトマンK氏に話を聞いてみた。
やり手のスカウトマンも
「お店によって変わってくるけど、だいたい相場は女の子をひとりお店に連れていくと3万円から10万円くらいの報酬かな。金額の差はズバリ女の子の容姿やスタイル。当然可愛い子を連れていけばその分高い報酬になるよ。それで終わりじゃなくて、実際にその女の子がお店で稼いだ金額の約10%をもらえるんだ。これはその子が退店するまで続くから何人も抱えてればかなり稼げるよ」。
つまり人気のでる可愛い女の子を何人も入店させることができれば、高い報酬を得ることができ、中には年収1千万円を軽く超える者もいるという。こうした点が魅力的なのか若者の間では気軽に出来るバイトという認識も広まっている。
最近では16歳、17歳あたりの未成年もスカウト行為を行っている事実がある。これにはスカウトを題材に扱った某人気漫画による影響もあるとK氏は語った。
実際に風俗店で働きたいと思っている女の子にとっては、スカウトを通すことによるメリット、例えば待遇面を良くしてもらったりなども確かにあるかもしれない。
しかし、中にはスカウトした女性を月謝制のモデル事務所に登録させたり、そこからAV、芸能人や大物業界人の接待などに回されるという悪質なケースもあるという。女性にとっては人生をめちゃくちゃにされる危険性もあり、大きな問題である。
もちろんこのスカウト行為はスカウトマンだけの問題ではなく、それを利用するお店側の責任もある。一切スカウトを利用していない誠実なお店もあるという事実も確認しておきたい。
しかし、現実的にスカウトに頼らざるをえないというお店が存在することは事実。可愛い女の子を欲しがるお店側の需要に、高い報酬やナンパする感覚でお金がもらえることに惹かれて増え続けるスカウトマン。
この構図は変わらないだけに、今後もスカウト行為が消えてなくなることは難しいだろう。行政のさらなる取締りの強化はもちろん、スカウトを利用するお店側の自主規制も望まれる。
MEMO
多様化するスカウト事情!
ITを駆使するデジタル派も
ITを駆使するデジタル派も
路上で活動するだけではなく、最近はフェイスブックなどのSNSや出会い系サイトでスカウト活動をしているケースもある。「路上で声をかけながら、スマホでサイトをチェック。同時に行えるから効率いいよ」と福岡で始めて半年という新人スカウトマン。出会い系利用者にとっては、迷惑なライバルだ。
[月刊マンゾク九州2013年1月号掲載]